【読書メモ】落語を通じて人間の優しさと滑稽さを知っていく成長物語。『こっちへお入り』/平 安寿子 著

Posted by localpocky on 07.2013 書評/読書メモ   0 comments   0 trackback
Tag :落語




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こっちへお入り (祥伝社文庫)


2008年刊。2010年文庫化。

あとがきで著者自身が「落語小説」と書いています。
そういうジャンルの本があるということを、今まで知りませんでした。
落語は定期的に聴きに行っているのですが、落語がからんだ小説を読むのは初めてです。
Twitter のフォロワーさんに教えていただいたのがきっかけで、読んでみました。

主人公は、33歳 独身OL の江利。
友人が出演する女性向けのアマチュア落語教室の発表会で、先生の落語を聴いて感銘を受け、往年の名人の落語の CD を聴いているうちに、どんどん落語にはまっていく…。

自らも落語教室に入って、落語の練習を重ねていくうちに、人間の心の内や人間の滑稽さを知っていく、主人公の成長物語です。

自分が聞いたことのある落語(特に前座噺など)がたくさん出てきて、楽しく読めました。
各章の最後にある「知ったかぶり落語用語解説」も面白いです。
落語を全く聴いたことがない方が読むと、ちょっととっつきが悪いかもしれません。

主人公は、プロの落語家の高座を一度も観ることなく、CD 音声だけで落語を聞き込んでいくのですが、CD だけでここまで情景を思い浮かべることができるとは!
落語の見方というか、深堀の仕方を教えてくれたような気がしました。

<引用メモ>
「一生懸命になればなるほど、滑稽になる。人が生きるとは、そういうことじゃないですか。客は、今の言葉で言えば『上から目線』で、落語世界の人物をバカなやつらだと見下して笑うんじゃない。自分と同じだから、共感して笑うんですよ。愛しいから、笑うんです。」(p.125)

以前の江利なら、怒りを爆発させて面と向かって罵倒し、部長に言いつけ、それでも足りずに腹立ちを引きずって、毎日皮肉りまくっていただろう。そのせいで、わだかまりを残し、職場の空気にも悪い影響を与えたに違いない。でも今は、物事の滑稽な側面が目に入る。どんなことも見方を変えれば、笑い話になるのだ。(p.279)

(2013/06/18 読了)

こっちへお入り

平 安寿子
祥伝社 2008-03
by ヨメレバ

こっちへお入り (祥伝社文庫)

平 安寿子
祥伝社 2010-12-09
by ヨメレバ


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