[読書メモ] アガワ流、楽しく話を引き出すインタビューの仕方。「聞く力」/阿川佐和子
※本ブログでは記事中に広告情報を含みます
聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)
2012年1月刊。
発売から4ヶ月経っても、本屋さんの目立つところでよく見かける、この本。
週刊誌で「阿川佐和子のこの人に会いたい」という連載対談を続けて、20年。
対談の回数は 900 回以上という著者が語る、インタビューの仕方についての本。
…と言っても、当の本人は
「インタビューが上手になったという実感はほとんどありません」
なんて言っていたりして、いい意味で軽い気持ちで読める本です。
新書という堅苦しいスタイルを取っていますが、中身は軽快で、テンポがいい。
何と言っても、読んでいて楽しいのがいいですね。
昨年の阿川佐和子さんの講演会 で聞いたエピソードも書かれていて、ちょっと得した気分。
「ヘヴィメタって、なんですか」から始まった、デーモン閣下へのインタビューの話、面白かったです。
「CD を聴いていて思ったんですが、こうしてお話ししているデーモン閣下はものすごく低音のダミ声なのに、歌を歌っているときの閣下の声は、ボーイソプラノのように高くないですか? どうしてなの?」
すると、この質問にも明快な答えが返ってきたのです。
「それはね、理由があるんです。あれだけの轟音で演奏している中で、低い声で歌うとぜんぜん聞こえないんですよ。高くないと声が通らないから、だからヘヴィメタのボーカルはみんな、必然的に高い声で歌うようになったんです」
いかがですか。聞いてみるものですよねえ。(p.125)
阿川さんが、インタビューに臨むときのスタンスは「聞き手に徹すること」。
「人の話を聞く」ということに興味がある私は、この点にとても共感できました。
■引用メモ
質問をする。答えが返ってくる。その答えのなかの何かに疑問を持って、次の質問をする。また答えが返ってくる。その答えを聞いて、次の質問をする。まさにチェーンのようなやりとりを続けてインタビューを進めていくことが大事なのだと教えられたのです。(p.53)
話を聞く。親身になって話を聞く。それは、自分の意見を伝えようとか、自分がどうにかしてあげようとか、そういう欲を捨てて、ただひたすら「聞く」ことなのです。相手の話の間に入れるのは、「ちゃんと聞いていますよ」という合図。あるいは、「もっと聞きたいですねえ」という促しのサインだけ。そうすれば、人は自ずと、内に秘めた想いが言葉となって出てくるのではないでしょうか。(p.148)
(2012/03/19 読了)
聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書) 阿川 佐和子 文藝春秋 2012-01
|
■2012/06/03 追記:
2011年10月から「サワコの朝」というテレビ番組が始まりました。
阿川さんがインタビューするところを映像で見たい方は、ぜひ!
サワコの朝 | MBS
■関連記事
阿川佐和子 講演会「わたしと雑誌の深くて長いおつきあい」@西国立 東京都立多摩図書館 (東京都多摩教育センター) - localpocky's reports
スポンサーサイト